緑内障の治療
私たちは景色を見たとき、その景色が眼の奥に映し出され、眼の底にある視神経という器官を通って脳に伝わります。しかし、その視神経が何らかの影響で障害を受けていると、情報をすべて伝えることができません。その結果、見える範囲(「視野」と言います)が欠けてしまったり狭くなったりします。この視神経の障害をおこす病気の一つが緑内障です。
緑内障は悪化すると視野が大きく欠けてしまい、生活を送るのに支障がでることがあります。いわゆる失明の原因になりうる病気としてよく知られており、大きな問題となっています。さらに、40歳以上の日本人の中で20人に1 人は緑内障になっていることが分かりました。2016年には全国に約465万人もの緑内障の人がいると考えられています。緑内障は年齢とともに増加していくため、高齢化社会となる日本では今後ますます増えていくことが予想されます。
緑内障のメカニズムについてお話しします。眼を触ってみると弾力がありますが、これは眼の中に満たされている液体が一定の圧力を保っているからです。この眼球の硬さを眼圧といいます。眼の中でこの液体は循環していますが、何らかの原因で出口が詰まったり働きが悪くなると、眼の中で液体が溜まり眼圧が高くなります。そうすると、視神経が障害されやすくなり視野が欠けて緑内障になると考えられています。
研究や薬の開発が進んだおかげで、緑内障による失明の危険性は以前よりも減らすことができるようになってきています。緑内障は症状に気づかないまま進行してしまうことが多いため、定期検診をしっかり受けられることをお勧めします。
緑内障の治療
眼圧を下げることで、進行を防止したり、遅らせることができる可能性があります。眼圧が正常な緑内障(正常眼圧緑内障)でも、眼圧をさらに下げることで病気の進行を遅らせることができる可能性があります。ただし、ひとたび障害されてしまった視神経は、残念ながら回復することはありません。また、どんなに手を尽くしても進行を止められない緑内障もあります。しかし、早期に緑内障を発見できれば、失明に至る危険性は少なくなります。治療方法としては、薬物療法(点眼、内服)・レーザー治療・手術があります。緑内障のタイプやそれぞれの方に適した治療方針を決定していくことが重要となります。